LGBT理解増進法施行後に何が変わる?LGBTQの立場と世界から見た日本

LGBT法(LGBT理解増進法)が施行されました。

最近何かと話題になっているLGBTですが、
そもそも本質を理解していて、法案に興味を
持ち「賛成」や「反対」をしている人は
少ないのではないでしょうか。

LGBTとLGBT法の施工後何が変わるのか
まとめてみました。

この記事でわかること
  • LGBT(Q)とは?
  • LGBT理解増進法とは?
  • LGBT法施行で何が変わるのか
  • 世界から見たLGBT法成立

 

 

LGBTQとは何か?

最近話題のLGBT法ですが、そもそも
LGBT(Q)とはどういうことを言う
のでしょうか。

この記事を読んでいただいているほとんどの
日本人の方は

レズビアン、ゲイ、ホモセクシャル

という言葉自体を一種の差別用語のように
捉え、まだ倫理的に理解していなかった
子供の頃には、実際に、ある種差別の対象
として使っていた方も少なくないかもしれません。

人間は、男と女、生物学的にはこの2種類
だけで、「恋愛や性行為に関してもこの
2種類の間だけで起こるもの」というのが
今までの大多数の人の考えがあったかと思います。

人は見た目で判断する生き物ですので、
ある意味当たり前ですよね。

それでは、なぜ最近になって同性愛や
性同一性障害という言葉の撤廃
などが注目されるようになったのでしょうか。

 

LGBTQの各要素を理解しよう

まず基本からおさらいしましょう。

引用:https://japantoday.com/category/politics/japan-parliament-passes-watered-down-lgbt-understanding-bill

 

Lesbian(レズビアン)

レズビアンとは、女性が他の女性を特別に
好きになることを指す言葉です。

ある人が好きになる人の性別は
人それぞれで、男の子が女の子を好きに
なるように、女の子が女の子を好きに
なることもあります。

そして、女性が他の女性を恋愛的に好きに
なることを、特にレズビアンと呼びます。

Gay(ゲイ)

ゲイ(Gay)とは、男性が他の男性を
特別に
好きになることを指す言葉です。

男の子が女の子を好きになることは
よくある
ことだけど、同じように男の子
が男の子を好き
になることもあります。

そして、男性が他の男性を恋愛的に好き
なることを、特にゲイと呼びます。

 

 

Bisexual(バイセクシャル)

バイセクシャル(Bisexual)とは、
男性も女性も好きになることができると
いう性的指向を指す言葉です。

男の子や女の子が男性と女性の両方を
好きになることもあります。

それを特にバイセクシャルと呼びます。

つまり、好きな人の性別が男性でも
女性でも、または両方でもOKということ
です。

Transgender(トランスジェンダー)

トランスジェンダー(Transgender)
とは、
自分が生まれたときに医者などが
決めた性別
(男性か女性か)とは違う
性別として
自分自身を理解し、
生きていく人のことを
指す言葉です。

たとえば、身体は男性だけど、自分の心は
女性
だと感じる人や、身体は女性だけど、
自分の
心は男性だと感じる人などがこれ
に当てはまります。

例)友だちが男の子だけど、女の子の
ように
振る舞いたいとか、女の子の服を
着たいと
言ったら、それはその友だちが
自分自身を
女の子と感じているからかも
しれないです。

Queer(クィア)

クィア(Queer)とは、性的指向や性自認
(自分が男性だと感じるか女性だと感じるか)
が一般的な規範から外れている、または
それに当てはまらない人々を
表すための
言葉です。

これはとても広い意味を持つ言葉で、
具体的な性的指向や性自認をはっきりと
定義しない人々を含むこともあります。

例えば、自分が男性か女性かをはっきり
と決めたくない人、あるいは男性と
女性の両方の特徴を持つと感じている人、
または異性愛や同性愛といった
カテゴリーにはまらないと感じる人など
が、クィアと自称することがあります。

「クィア」という言葉は、一人ひとりが
自分自身を自由に表現し、定義するため
の言葉とも言えます。

いかがでしょうか、

LGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル)

までは、理解できるかと思いますが、

T(トランスジェンダー)やQ(クィア)

というのは、特に最近メジャーになった
言葉なので、よくわからなかったという方が
多いのではないでしょうか。

実はこのTとQ、特にクィアに関しての
理解を深めることが一番大事な気がします。

 

 LGBTQが直面する問題

LGBTQコミュニティの人々が直面する問題は
多岐にわたりますが、代表的なものを
挙げてみたいと思います。

 

  1. 理解の欠如: 人々がLGBTQの人々や彼ら
    の生活について十分に理解していないこと。

    これは間違ったステレオタイプ
    (固定観念)を生み出す可能性があります。

  2. ハラスメントといじめ: 学校や社会で
    LGBTQの人々がいじめやハラスメントに
    遭遇することがあります。

  3. 差別: LGBTQの人々は職場や学校、
    社会生活全般で差別に直面することが
    あります。これには公平な処遇や同等の
    機会が与えられないことも含まれます。

  4. 法的な保護の欠如: 一部の国や地域では、
    LGBTQの人々に対する法的な保護が
    十分になされていない場合があります。

  5. 自己認識と受容の困難: 自分がLGBTQで
    あることを理解し、自己を受け入れる
    ことは特に若い人々にとって困難な
    場合があります。

  6. アウティング: 自分がまだ公にしたくない
    性的指向や性自認が他人に明らかにされる
    (アウティングされる)ことは、
    精神的なストレスを生じる可能性があります。

  7. ヘルスケアへのアクセス: LGBTQの人々
    は医療機関で偏見に遭遇したり、
    必要なケアが受けられないことがあります。

 

これらはあくまで代表的なものであり、
問題は多岐に渡ります。

引用:FILE PHOTO: A participant holds a sign as they march during the Tokyo Rainbow Pride parade, celebrating advances in LGBTQ rights and calling for marriage equality, in Tokyo, Japan April 23, 2023. REUTERS/Issei Kato/File Photo

 

LGBT理解増進法とは

LGBT理解増進法:正式名称は

性的指向及びジェンダーアイデンティティ
の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律

となっています。

まず一言に「法」といっても、今回の法律に
関する罰則は今のところありません。

では、具体的にどんな内容が盛り込まれて
いるのか見ていきましょう。

 

 LGBT理解増進法の主な内容

【LGBT理解増進法の主な内容】

●法律の目的は、性的指向およびジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資すること(1条)
●全ての国民は、性的指向またはジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重される。性的指向およびジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならない(3条、基本理念)
●国と地方自治体は理解増進施策の策定・実施に努める(4、5条)
●事業主は労働者への普及啓発、就業環境の整備、相談の機会の確保などをおこない、理解増進に努める。学校設置者は家庭および地域住民その他の関係者の協力を得つつ、児童・生徒らの教育または啓発、教育環境の整備、相談の機会の確保などをおこない、理解増進に努める(6条)
●政府は毎年1回、理解増進施策の実施状況を公表する。基本計画を定め、おおむね3年ごとに検討を加える(7、8条)
●全ての国民が安心して生活できるよう留意する。政府は必要な指針を策定する(12条)

引用:The Asahi Shimbun SDGs ACTION

やっぱり、法律となると、わかりづらいですね。

なんとなく理解ができるものの、
もう少し砕けた言い回しで説明します。

解説
  1. この法律は、国民全員が自分の性別や
    恋愛の形に関係なく、公平に尊重
    される社会を作るためにある(1条)。

  2. 性別や恋愛の形にかかわらず、誰もが
    大切な人間として尊重され、差別
    されてはいけない(3条)。

  3. 国や地方の自治体(市町村など)は、
    性別や恋愛の形についての理解を
    深める活動を進めるべきだ(4、5条)。

  4. 会社や学校は、働きやすい環境を
    作ったり、困ったときに話せる場所を
    提供したりして、理解を広めるべきだ
    (6条)。

  5. 政府は、どれくらいの理解が広まって
    いるかを毎年発表し、3年ごとに
    改善計画を見直す(7、8条)。

  6. 政府は、誰もが安心して生活できる
    ような社会を目指すためのルールを
    作る(12条)。

    おおよそこんな感じになるかと思います。

    つまり、LGBTQについて国民全体で理解を
    深めて、社会的にLGBTQかもしれない
    人たちを差別しないような環境作りを
    目指そう
    ということですね。

     

    法律の施行前と後で何が変わるのか

    まずは、この法案が成立したことで、
    ネットでのさまざまな意見を
    まとめてみました。

    ネットの意見
    • 思春期の子供が自分の性別に迷いが
      生じたりして混乱しそう。

    • LGBTQ当事者のためではなく、
      差別する側、困難を与える側に
      配慮された法律

    • まるでLGBTの人間が、国を脅かす
      ように明記された法律

    • 「心が女」といえば、女湯に
      入ったり、女性専用トイレに
      入ったり、それを利用した犯罪も
      増えそう

    • 女性の権利が侵害される

     

    批判的な意見が多いのが特徴ですが、
    一部間違った見方に変えたり、
    公衆トイレや公衆浴場に特化した法案の
    ように話している方も見受けられました。

     

    ただ、この法案って、

    「男が女湯や女子トイレに入れる法律」や、

    「ジェンダーレストイレを推進しよう」
    とか、

    「物理的な男性と女性の施設を区切るのを
    やめよう」

    とかいう法案ではないんです。

     

    引用:https://www.asahi.com/sdgs/article/14939487#:~:text=LGBT理解増進法の,であり罰則はない%E3%80%82

     

    今はネットの時代なので、さまざまな
    意見が飛び交い、理解が薄い言葉が
    暴力となってさまざまな人に対して
    投げかけられます。

    SNSで切り取った知識や、人道的に
    ずれていることが広がらないように
    努めないといけませんね。

    そもそも、LGBTQっていう言葉だけに
    区切ることは必要ないんですが、
    「性同一性障害」の一言で片付けられて
    いた少し前までの日本が、一歩進んで
    LGBTQという言葉に辿り着いたわけです。

    国連が推奨するSDGsのように、日本人は
    ステレオタイプの考えが多く、人口が多い
    ため日本人特有の「右にならえ」の意識が
    根強いです。

    そんな中、こういった社会環境を変える
    法案で、さまざまな意見が出るのは良い
    ことですが、あまりにも偏った見方だけは
    したくはないですね。

    この法案が通ったことで、今までの
    生活環境にさまざまな変化が起きる
    ことは間違いないでしょう。

    国連の元首国であるアメリカから何度も
    法案の制定を迫られていたので、今後起きる
    変化は国際社会において必要なのかも
    しれませんね。

    今後の変化

    ポジティブな変化
    • 差別の減少
      LGBT理解増進法ができると、みんなが
      LGBTQの人々を理解して、優しく接する
      ようになるかもしれません。

    • メンタルヘルスの改善
      LGBTQの人々が自分自身を受け入れられ、
      他人からも受け入れられる社会が形成
      されることで、メンタルヘルスの改善に
      つながる可能性があります。

    • 社会の多様性
      みんなが違って、みんなが特別。LGBTQの
      人もその一部で、みんなが自分らしく
      いられる世界になるかもしれません。

    • 法的権利の拡大
      LGBTQの権利に対する認識が高まること
      で、同性婚や性別変更など、法的な権利の
      拡大や保護が進む可能性があります。
    ネガティブな変化
    • 反対する人が出る
      一部の人々は、自身の信念や価値観と
      異なると感じる可能性があり、その結果、
      LGBTQに対する抵抗や差別が増える
      可能性もあります。

    • 誤解の拡大
      誤った情報や無知により、LGBTQについて
      の誤解やステレオタイプが広がる可能性が
      あります。

      正しい情報がないと、間違ったことを
      信じてしまう人がいるかもしれません。

    • コミュニティ内部の分裂
      LGBTQの中でも、各々の性的指向や
      ジェンダー同一性は多様であり、法律の
      制定によって一部のグループが他の
      グループよりも優遇されると感じる
      ことで、内部での分裂が生じる
      可能性があります。

     

    LGBTQの立場

    実際にLGBTQ当事者側に立つと、さまざま
    な変化が生まれることも確かです。

    次に挙げるのは、理解が進んだことで
    得られる良い変化となります。

     

    1. 自分らしさを認められる:
      自分がLGBTQであることを隠す必要が
      なくなり、自分らしく生きることが
      認められるようになる。

    2. 公の場での差別が減る:
      法律や社会全体の理解が進むことで、
      公共の場所での差別や排除が減る
      可能性があります。

    3. 安心して働ける:
      職場における差別やハラスメントが減り
      、より安心して働ける環境が整うかも
      しれません。

    4. 心の健康が保たれる: 自分の性的指向や
      性自認を受け入れてもらえることで、
      精神的なストレスが減り、心の健康を
      保つことが容易になる。

    5. オープンな議論ができる: LGBTQに
      ついての理解が深まることで、オープン
      な議論がしやすくなる。自分自身の
      経験や考えを人々と共有できるようになる。

    6. 適切なサポートを得られる: LGBTQと
      しての困難に対して適切なサポートや
      対応を受けられるようになる。

    7. 自分たちの権利を守る: 自分たちの
      権利を主張し、守る力が増す。

     

     

    世界から見た日本のLGBT対応

    大まかですが、世界の人種や宗教を
    踏まえて、さまざまな国と日本を比較
    してみました。

    オランダ アメリカ カナダ 南アフリカ ブラジル ロシア インド サウジアラビア 日本
    同性婚 合法(2001年から) 州により異なるが全面的に合法化(2015年から) 合法(2005年から) 合法(2006年から) 合法(2013年から) 非合法 非合法 非合法 非合法(一部自治体でパートナーシップ証明書を発行)
    性的指向に基づく差別の禁止 法制化 州による 法制化 法制化 法制化 法制化されていない 法制化 差別は禁止されていない 法制化はされていないが、企業や学校での差別防止の取り組みが進行中
    トランスジェンダーの性自認 法的に認められる 州による 法的に認められる 法的に認められる 法的に認められる 法的に認められない 法的に認められる 法的に認められない 厳格な条件下で法的に認められる
    LGBTQの社会的認知 高い 州により異なるが、一部の地域では高い 高い 中程度 中程度 低い 低い 非常に低い 進行中だが全体的にはまだ不十分。一部の地域や企業では積極的な取り組みが見られる

     

    世界から見た日本のLGBT法案に関しての意見

    世界の経済主要国の多くは、この法案に対して、「性に対しての理解を深めるための法案」という見方は薄いのが現状です。

    この法案ができたことで、「経済的な危機に直面していて、少子高齢化の日本が世界中の国と渡り合うための第一歩」程度に考えられている傾向が強いです。

     

    つまり、「日本も国際社会の中で台頭に渡り合うために、多様性を受け入れて、性別や人種の差別や垣根をなくしていかなければいけないよ」

    ということです。

     

    日本は他のG7諸国、特に米国から同性婚を許可するよう圧力を受けている。

    ビジネスリーダー達は、特に東京が世界的な金融センターとしての地位を促進しようとしているため、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々の代表を含む、より大きな多様性なしには日本が国際競争力を維持できないことを恐れていると言います。

    引用:翻訳 REUTERS

     

    まとめ

    LGBT法(理解増進法)が制定されたことで、
    今後の変化や世間の反応をまとめてみました。

    ・LGBTQの理解
    ・LGBT法の理解
    ・現状の問題
    ・制定されたことで起こる変化
    ・世間の声
    ・世界との比較
    ・世界から見た日本のLGBT法成立

    いかがでしたでしょうか。

    LGBTQの理解を深めることで、新しい環境
    への対応が必要になってくるのは事実ですね。

    ある意味それは日本人が一番苦手なもの
    でもありますし、反対派の意見が多い
    のも頷けます。

    令和になり、多様化が叫ばれる現在で、
    これからどんどん環境が変化されるような
    法律やルールが増えていくと思われます。

    ただ、変化を恐れて変わらずにきた結果が
    今の経済不安であるのは確かなので、
    少し強行的な方法でも経済を良くする
    ための改変と捉えられなくもないです。

    岸田首相は、自ら批判されるリーダー役を
    役をかってでているのかもしれませんね。

    ただそれが正解か不正解かは、歴史しか
    わからないところでもあるので、賛成派、
    反対派、支持率などは全く当てに
    ならないかもしれません。

    あくまで中立的な立場で、事実として
    起きていることや、これから起きること、
    反対意見などをまとめてみました。